その他有価証券を時価で評価する際、
前期末に「評価差額」を認識します。
でも翌期になって、その評価差額を”切放放式(その期で完結させる処理)”にしてはいけないー。
何故でしょうか?
この記事では、前期末の会計処理から翌期の動きまでを追いながら、
「切放放式が使えない理由」をやさしく解説します。
1.結論!なぜ「切放方式」はダメなのか?
その他有価証券は時価の変動による差額を(P/L)に入れてはいけないからです。
その差額は株主の持っている純資産(資本)に影響するものと考えるので、
評価差額は損益ではなく「その他有価証券評価差額金(純資産)」で処理する
ことになります。
ところが切放方式を使うと、
差額をそのまま当期の損益に入れてしまい、
- 当期の利益が不自然に増減する
- 期ごとに利益がずれる
- 純資産が正しく反映されない
という問題が起きます。
だから、
その他有価証券は「洗替方式」一択。

利益・損失が損益計算書に入らないのがポイントだよ!
だから翌期に処理をリセットする必要があるんだ。
2.前期末の処理~評価差額は「純資産」に入る理由~
前期末は、株価が上がった・下がったとき、
| 処理 | どこに影響する |
| 評価差額 | 損益× 純資産(その他有価証券評価差額金)〇 |
このとき利益は動かさないのがポイント。
なぜなら、
株を売って利益が確定したわけではないから。
まだ、「未実現利益」なので、損益に入れない。
3.翌期首で「戻す」理由~洗替の考え方~
翌期に入り、まずやることはひとつ↓
前期末に計上した「その他有価証券評価差額金」をいったん取り消す
これは前期時点での評価差額であり、
新しい期に持ち込むべき「当期の利益」ではないため。
- 前期の差額はリセット
- 当期は当期の差額で評価し直す。
という「期ごとに切り分けるための整理」が洗替です。
4.なぜ「切放方式」だとダメなのか?
もし切放方式で処理すると↓
| 問題点 | 内容 |
| 当期利益が増減してしまう | 株を売っていないのに利益が動く |
| 利益がブレる | 時価が上下するだけで損益が変動 |
| 純資産が正しく反映されない | 投資価値の変化が資本に反映されない |
つまり、
株を持っているだけなのに「利益が上下しているように見える」状態
となり、財務諸表が歪みます。
だから、
切放方式は不可。洗替方式が原則。
5.理解のゴール(ここが分かればOK)
- その他有価証券は「売る前の評価差額」は損益にしない
- 評価差額は純資産(その他有価証券評価差額金)へ
- 翌期にいったん差額を戻し、当期分を評価しなおす
- こうすることで期ごとに公平な損益が出せる
6.仕訳の流れまとめ表
| タイミング | 仕訳内容 | ポイント |
| 前期末 | 評価差額 →その他有価証券評価差額金 | 損益に入れない |
| 翌期首 | 評価差額金を戻す(洗替) | 当期損益の準備 |
| 当期末 | 改めて評価 | 当期の評価差額だけを反映 |
7.図解


スクくんまとめ
- その他有価証券の評価差額は「純資産」に入る(未実現の利益だから)
- 純資産を正しく表示するため、翌期に「いったん元に戻す(洗替方式)」
- 戻さずに放置(切放方式)すると、差額が累積して実態とズレる
→だから、切放方式は使えない!
この回は
「なぜその処理が必要なのか」を一段深く理解するためのテーマでした。
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