はじめに
連結会計で最初の出てくる「投資と資本の相殺消去」
仕訳としては覚えられるけど、
「そもそも、何で消すの?」
「どうして”投資”と”資本”が関係があるの?」
と疑問に思う人は多いですよね。
この記事では、子会社の株主がもともと第三者だったところからスタートして、
P社が株式を取得し、最終的に連結する流れの中で”なぜ相殺するのか”をスッキリ理解します。
1.スタート地点ーS社は独立した会社だった
はじめに、S社は”外部の株主(第三者)”によって設立された独立した会社だとします。
この時のS社の仕訳はこうです↓
会社
S社
仕訳内容
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 100 | 資本金 | 100 |
株主(第三者)は現金を出し、その対価としてS社の株式を受け取ります。
S社にとっては「外部から資金を受け取った」状態です。
2.まだこの段階では「外部関係」
この時点では、
S社の株主はグループ外の人です。
したがって、S社の資本金は外部から調達したお金であり、
P社とは何の関係もありません。
3.ここでP社が登場ー株式を取得する
次に、P社がその株主からS社株式を100%買い取るとします。
このとき、仕訳はこうなります↓
会社
P社
仕訳内容
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| S社株式 | 100 | 現金 | 100 |
元株主
(第三者)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 100 | S社株式 | 100 |

1.この取引はP社と元株主の間で行われています。
2.S社自身は関与していません。
つまり、P社がS社の株式を買っても、
S社の資産や負債は1円も動いていません。
4.株主が第三者→P社に変わっただけ
P社が株式を取得したことで、
S社の株主が第三者からP社に入れ替わっただけです。
| 取得前 | 取得後 |
| S社の株主:第三者 | S社の株主:P社 |
| S社の立場:独立会社 | S社の立場:子会社 |
| 関係:外部関係 | 関係:内部関係(グループ内) |
5.連結会計の視点になると…?
ここで連結会計では、
P社とS社を「ひとつの企業グループ」とみなします。
すると、P社が保有する「S社株式」は、
グループ内のS社の「資本金」と対応関係にあります。
なぜなら、S社の資本金はもともと株主に出してもらったお金。
その株主がP社に変わったのだから、

P社の投資(S社株式)=S社の資本金
という関係ができたわけです。
6.だから「投資と資本」を相殺して消す。
グループ全体でみると、
P社がS社に出資したことになります。
でも、これはあくまでグループの中でのお金のやりとり。
外部世界との関係には何も変化がありません。
したがって、連結財務諸表では、次のように修正します↓
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| S社資本 | 100 | S社株式 | 100 |
これが、「投資と資本の相殺消去」です。
7.図で整理してみよう

結果:
P社が持つS社株式と、S社の資本金が同じお金を二重に表しているため、
連結ではそれを消すのです。
8.スッキリまとめ
| 段階 | 状況 | 関係の性質 |
| ①設立時 | S社が第三者から出資を受ける | 外部関係 |
| ②P社がS社株式を取得 | 株主がP社に入れ替わる | 内部関係へ |
| ③連結会計 | P社とS社を一体として見る | 内部関係を消去 |
| ④修正仕訳 | (借)S社資本/(貸)S社株式 | 投資と資本の相殺 |

スクくんまとめ
最初はS社の株主が第三者(外部)だったのに、
P社が株式を取得したことで内部関係に変わった。
これこそが「投資と資本を消す」理由です。
外部から見たら、グループ全体のお金の総量は変わっていません。
だから連結では”内部のやりとり”を消して、
外部との真の姿を映すのです。
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