はじめに:ここが混乱のポイント!

「未実現利益の消去」を学ぶと、こんな疑問が出てきませんか?

「グループ内で売上があったなら、売上高を消せばいいのでは?」
「なのに、なぜ"売上原価/商品”で処理するの?」

多くの独学者がここで立ち止まります。
今回は、この「なぜ?」を”すっきり”理解できるように整理します。

1.まず押さえたい:連結会計の目的

「親会社と子会社をひとつの会社とみなして、外部との取引だけを残す
という考え方に基づいています。

つまり、親子会社間の取引(グループ内のやり取り)は、グループ全体の利益とは関係がないため、帳簿上”なかったこと”にします。

2.売上と仕入はすでに消えている!

親会社が子会社に商品を売った時、まず行うのが「内部取引の消去」です。
例:親会社が100円で販売(原価80円)した場合

借方貸方
売上高100売上原価100

→「売上高100(期中取引では「売上」)」と「売上原価100(期中取引では「仕入」)はすでに消えています。
この時点で、”取引そのもの”は連結上ゼロです。

3.でも残っているのが「未実現利益」

子会社がまだその商品を外部に売っていないとき、その在庫には”親会社の販売利益(20円)”が含まれています。

つまり、グループ全体でみるとこうなります。↓

項目内容
親会社売上利益20円を計上済み
子会社商品100円(利益込み)を保有
グループ全体外部にまだ売っていない!→利益は”未実現”

この「未実現の20円」を消すのが次のステップです。

4.どんな修正をすればいい?

グループ全体の立場から見ると、
この商品はまだ外部に売れていない=原価のままであるべきです。

でも今は、利益込み(100円)で商品が計上されています
だから、利益分(20円)を取り除いて原価80円に戻す必要があります。

5.未実現利益の消去仕訳

借方貸方
売上原価20商品20

6.なぜ「売上高」じゃなく「売上原価」なの?

ここが本題ですね。
理由はシンプルに言うと次の通りです↓

売上高は「取引」を消すときに使う
→内部取引の消去(親子間の”売上高(元は売上)・売上原価(元は仕入)”の打ち消し)

売上原価は「在庫の金額」を直すときに使う
→未実現利益の消去(商品評価の修正)

つまり、未実現利益の消去は

「利益を取り消す」のではなく、「商品の評価を正しい金額に戻す」

という処理なんです。

7.もう一度全体を見てみよう

処理内容目的
内部取引の消去売上高と売上原価を相殺取引そのものを消す
未実現利益の消去売上原価/商品在庫の評価を修正する

だから「売上高」でなく「売上原価」を使うのです。

8.スッキリまとめ

覚え方意味
売上高を消す→取引を消すすでに内部取引の段階で実施済み
売上原価を使う→原価に戻す未実現利益を消去して在庫を正しく評価

→未実現利益の消去は「原価修正のための仕訳」
だからこそ、売上高ではなく売上原価を使うのです。

スクくんまとめ

1.「売上高」は取引を消すため。
2.「売上原価」は在庫評価を直すため。

未実現利益は”利益”の話ではなく、”資産の正しい評価”の話なんです。

9.さらに理解を深めたい人へ

もしこのテーマを深堀したいなら、次の記事で理解が深まります。↓

・連結修正仕訳の考え方を図で整理